2025/04/01
断熱でヒートショック予防〜カーボンニュートラルにもつながる暮らしの工夫〜

ヒートショックは急激な温度変化による健康リスクで、特に冬場の浴室で多発します。住宅の断熱性を向上させることで、ヒートショックの予防と光熱費の削減が可能です。補助金制度も活用して、健康で快適な暮らしを目指しましょう。

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ほんとにあった怖いヒートショック

「ヒートショック」という言葉をご存じでしょうか? ヒートショックとは、暖かい場所から寒い場所への移動した際の急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす現象です。冬場の浴室で多く発生しており、高血圧性疾患、心疾患、脳血管疾患、大動脈瘤及び解離のような循環器系の疾患による死亡者数が、冬場に増加していることが分かります(下図)。

ヒートショックは温度差によっておこるので、予防するには家全体を温めて住宅内に温度差を作らないことが大切です。しかし、家全体を温めるとなるとそれなりの燃料代、電気代がかかってしまうこともまた事実。
そこで本稿では住宅の断熱についてご紹介します。

窓の断熱

住宅において熱の流入出が多いのは窓です。冬場は窓から約60%の熱が出入りしているといわれています。よって暖房効果を高めるには、窓の断熱性を高めるのが最も手っ取り早いということになります。例として、以下の表にYKKAPで施工した場合の費用負担の目安を示します。

表 窓の断熱工事に係る費用負担の目安

1部屋(掃き出し窓1つ、腰高窓2つ) 家全体(小窓等を合わせて十数か所)
内窓設置 30万円~ 100万円程度
窓枠ごと交換 60万円~ 200万円程度

参考:1部屋については、樹脂窓で節約しながら快適な部屋に。 | ヘルスケアマド | YKK AP株式会社

実はこのような窓の改修工事には、既存住宅の省エネ化を目的とした「先進的窓リノベ2025事業」という補助金があります。補助額は窓のサイズと性能で決まっており、概ね上記の商品代と工事代のうち最大で半額程度がカバーされます(前述の例だとそれぞれ50万円程度、100万円程度)。また自治体が独自に併用可能な補助金を用意している場合もあります。

 光熱費の削減効果

工事をするとどのくらい光熱費が削減されるのでしょうか? 先進的窓リノベ事業ではモデルケースが示されています。約120㎡の2階建木造住宅にある11か所の窓を全て断熱使用に変えた場合、断熱改修前の住宅の性能や地域によって差が大きいですが、年間9,000~45,000円程度の節約になると記載されています。古い住宅にお住いで今後20年程度住み続ける見込みであれば、工事費用の自己負担分は回収できる可能性があります。

図 モデル住宅における窓の断熱改修の光熱費削減効果
(出典:先進的窓リノベ2024運営支援室

命はプライスレス

ちなみに高齢者の循環器系疾患による入院日数は平均で40日程度、脳血管系の疾患では70日を越えます。入院費用が数十万円になることもあるため、循環器系に不安のある方は自己負担分を光熱費で回収できなくてもやってみる価値が大いにあるかもしれません。
「補助金があってもいきなり窓の断熱工事なんてできない」という方もいらっしゃるでしょう(私もそうです)。そんな方は、ホームセンターに行けば数千円で手に入る断熱カーテンや遮熱シート、窓のすき間テープ、気泡緩衝材(いわゆるプチプチ)で、まずはお手軽に窓の断熱性を高めてみましょう。意外と窓際の寒さが緩和されます。
住宅の断熱で、健康にも地球にも優しい暮らしを目指してみてはいかがでしょうか。